🦒 この記事を読むとわかること
- 体外受精で妊娠するまでにかかった費用の総額と、カテゴリ別の内訳
- 高額療養費が「ほとんど戻らなかった」理由と、戻る人・戻らない人の分かれ目
- 申請しなくても自動で振り込まれた147,000円と、実質の自己負担額
- 妊娠判定が出たあと、診察代が自費に戻るという落とし穴
こんにちは、キリンちゃんです🦒
治療中はずっと「いま、いくら使ったんだろう」がぼんやりしたままでした。領収書は封筒にたまるばかりで、合計を出す気力もなく。
そこで自分用に作った記録シートに、治療開始から今日までの領収書を全部入れてみました。出てきた数字が、思っていたよりずっと大きかった——そして、あとから思っていたよりずっと戻ってきました。両方とも、内訳ごと公開します。
📌 この記事で「健康保険」と書いているのは、会社から配られる保険証を使う公的な医療保険のことです。生命保険や医療保険といった民間の保険ではありません。
※すべて私ひとりの実例です。クリニック・治療内容・加入している健康保険によって金額は大きく変わります。日付はぼかして「◯か月目」で書いています。
結論:総額は346,428円でした
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 合計 | 346,428円 |
| うち健康保険が使えた分(3割負担) | 209,719円 |
| うち自費(健康保険の対象外) | 136,709円 |
| あとで戻ってきたお金 | −147,000円 |
| 実質の自己負担 | 199,428円 |
内訳は健康保険が効いた分が約6割、自費が約4割。「保険適用になったからそんなにかからない」と思っていたので、自費が13万円を超えたのは誤算でした。
ただし、このあと147,000円が戻ってきました。しかも申請なしで、自動で。くわしくは後半に書きます。
何にいくら使った?カテゴリ別の内訳
| カテゴリ | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 採卵関連 | 142,670円 | 41% |
| 培養・凍結 | 114,450円 | 33% |
| 診察・検査 | 79,879円 | 23% |
| 移植関連 | 9,429円 | 3% |
いちばん驚いたのは、採卵と培養・凍結だけで全体の約74%を占めていたこと。
逆に移植は9,429円と、拍子抜けするほど安く済みました。治療のゴールは移植なので「移植にお金がかかる」と思い込んでいたのですが、実際はそこに至るまでが本番だったんです。
私は採卵を2回しているので、その分がまるごと効いています。1回で十分な卵が採れるかどうかで、総額は大きく変わります。
月ごとの推移|山は2〜3か月目
| 時期 | 健康保険 | 自費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 45,050円 | 869円 | 45,919円 |
| 2か月目 | 80,780円 | 49,500円 | 130,280円 |
| 3か月目 | 81,369円 | 49,500円 | 130,869円 |
| 4か月目 | 2,520円 | 24,920円 | 27,440円 |
| 5か月目 | 0円 | 11,920円 | 11,920円 |
2〜3か月目に13万円ずつという山が来ました。ここは採卵と培養・凍結が重なった時期です。
自費の49,500円が2回出ているのは、健康保険が使えない追加の処置を選んだぶん。くわしくは #7 不妊治療1周期のリアルな費用公開|シミュレーションと実際を比較【体外受精・高額療養費】 に書いています。
落とし穴①:高額療養費の対象は「健康保険が効いた分」だけ
治療を始めるとき、いちばん期待していたのが高額療養費制度でした。でも実際に戻ってきそうな金額を計算したら——
💰 高額療養費だけで戻る見込み:1,884円
13万円の月が2回もあったのに、です。正直「計算を間違えたのでは」と思いました。
13万円の月でも、657円しか戻らない理由
私も最初は「13万円払って上限が8万円なら、5万円くらい戻るのでは?」と思っていました。でも、13万円の中身を分けるとこうなります。
| 2か月目の内訳 | 金額 | 高額療養費の対象? |
|---|---|---|
| 健康保険が効いた分(3割負担) | 80,780円 | 対象 |
| 自費(保険が使えない処置) | 49,500円 | 対象外 |
| 合計 | 130,280円 | — |
自費の49,500円は、高額療養費の計算にまったく入りません。どれだけ高くても1円も戻らないのです。
そうすると、対象になるのは80,780円だけ。私は所得区分「ウ」(年収約370〜770万円)なので、この月の自己負担の上限は80,123円でした。
80,780円 − 80,123円 = 657円
上限をたった657円超えただけ。3か月目も同じで1,227円。合わせて1,884円です。
つまり落とし穴は2つ重なっていました。①自費は対象外、②残った健康保険の分も、月ごとに計算されるので上限をわずかしか超えない。治療費の総額が大きくても、制度はこの2つで効かなくなります。
救世主:勤め先の「付加給付」で147,000円が自動で戻ってきた
ここで、私の場合は大きな助けがありました。付加給付(ふかきゅうふ)です。
これは国の高額療養費とは別に、勤め先の健康保険組合(会社の保険証を発行しているところ)が独自にやっている上乗せの仕組み。「1か月の自己負担は◯円まで」と健保が決めていて、超えた分が戻ってきます。私の健保は上限が月2万円でした。
実際に振り込まれた金額がこちらです。
| 入金 | 金額 |
|---|---|
| 1回目 | 25,000円 |
| 2回目(翌月) | 60,700円 |
| 3回目(翌々月) | 61,300円 |
| 合計 | 147,000円 |
いちばん驚いたのは、申請がいらなかったこと。書類を出した記憶もないのに、治療のおよそ3か月後から毎月、給与口座へ自動で振り込まれていました。
⚠️ 自動とは限りません。健保によっては自分で申請が必要です。「付加給付があるのに申請を忘れて受け取れなかった」が起こりうるので、自分の健保がどちらなのかは必ず確認してください。
高額療養費だけだったら、いくらだった?
同じ支払いで比べると、差は歴然でした。
| 条件 | 戻った(戻る)金額 |
|---|---|
| 高額療養費だけ(上限 約80,100円) | 1,884円 |
| 付加給付あり(上限 月2万円) | 147,000円 |
同じ治療費を払っても、14万円以上の差。これは治療そのものではなく、どこに勤めているかで決まってしまう部分です。
付加給付があるかどうかは、勤め先の健康保険のサイトや冊子で確認できます。「◯◯健康保険組合 付加給付」で検索すると出てくることが多いです。治療を始める前に一度調べておくと、心の準備がまったく変わります。
記録シートの試算は、ほぼぴったりでした
ちなみに、治療中に記録シートが出していた「戻り目安」と、実際の入金額を比べるとこうでした。
| 対象月 | シートの試算 | 実際の入金 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1か月目ぶん | 25,050円 | 25,000円 | 50円 |
| 2か月目ぶん | 60,780円 | 60,700円 | 80円 |
| 3か月目ぶん | 61,369円 | 61,300円 | 69円 |
| 合計 | 147,199円 | 147,000円 | 199円 |
合計で199円しか違いませんでした。どの月も差が100円未満なので、健保の側で100円未満が切り捨てられているのだと思います。
「だいたいいくら戻るか」が治療中にわかっていたおかげで、お金の見通しを立てたまま治療を続けられました。これが記録していていちばんよかったことかもしれません。
落とし穴②:妊娠判定が出たあと、診察代は自費に戻る
これは本当に知らなくて、びっくりしました。
妊娠判定が出たあとの診察は、不妊治療の健康保険の適用から外れます。妊婦健診は病気の治療ではないので、基本的に自費なんです(住んでいる自治体の補助券は、母子手帳をもらってから使えるようになります)。
私の場合、判定後の数回の診察でこうなりました。
| 時期 | 自費 |
|---|---|
| 4か月目(2回) | 24,920円 |
| 5か月目(1回) | 11,920円 |
| 合計 | 36,840円 |
治療費のヤマを越えてホッとしていたところに、1回1万円前後の自費が続く。母子手帳をもらうまでの期間は、ここも予算に入れておくと慌てずにすみます。
確定申告:医療費控除はいくらになる?
1年間の医療費が10万円を超えると、確定申告で医療費控除が受けられます。私の場合はこうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ① 1年間の治療費 | 346,428円 |
| + 通院の交通費 | 5,340円 |
| ② 付加給付で戻ったお金 | −147,000円 |
| ③ 控除の対象 | 204,768円 |
| ④ 控除の目安(③−10万円) | 104,768円 |
ここで大事なのが②です。戻ってきたお金は、必ず治療費から差し引いて申告します。差し引かずに346,428円のまま申告すると、あとで修正が必要になることがあります。
自動で振り込まれる付加給付は、気づかないまま確定申告してしまいがちなので要注意です。私も通帳を見るまで忘れていました。
交通費を忘れずに
見落としがちなのが通院の交通費です。電車やバスは領収書が出ませんが、日付と経路のメモだけで医療費控除の対象になります。
私の場合は往復356円 × 通院15日 = 5,340円。金額としては大きくありませんが、入れるのと入れないのとでは控除額が5,340円ぶん変わります。通院回数が多い方や、クリニックが遠い方ほど効いてきます。
※原則は公共交通機関です。タクシー代は、やむを得ない事情があるときに限って対象になります。細かい条件は国税庁のサイトか税務署にご確認ください。
記録してよかったこと
ここまでの数字は、ぜんぶスマホで30秒の記録を積み重ねただけで出てきたものです。
通院のたびに、金額とカテゴリをフォームに入れる。それだけで合計・内訳・月ごとの推移・高額療養費の戻り目安・医療費控除の金額まで、自動で出るようにしてあります。
正直、治療中は「記録どころじゃない」日がほとんどでした。それでも封筒にたまった領収書を前に途方に暮れる未来の自分を思うと、30秒だけはなんとかなりました。
同じシートを note で配布しています。作った経緯は 不妊治療の費用管理どうしてる?家計簿が続かない私がたどり着いた「スマホで30秒」記録術 に書きました。
これから治療を始める方で「だいたいいくらかかるか先に知りたい」という場合は、不妊治療費シミュレーター(無料)で事前に試算できます。
まとめ|これから始める方へ
- 払った総額は346,428円(健康保険が効いた分209,719円/自費136,709円)。採卵2回・移植1回で妊娠判定まで
- あとから147,000円が自動で戻り、実質の負担は199,428円だった
- 採卵と培養・凍結で約74%。移植そのものは1万円以下だった
- 高額療養費だけなら1,884円。自費は対象外で、残りも月ごと計算なので戻りはごくわずか
- 戻ってきたのは健康保険が効いた分だけ。自費の136,709円はまるごと自己負担のまま
- 戻りの大半は勤め先の付加給付。あるかどうか、申請が要るかどうかを治療前に確認を
- 妊娠判定後は自費に戻る。母子手帳までの数回分も予算に入れておく
お金の話は、聞きたくない日もあると思います。でも「見えない不安」より「見える金額」のほうが、私はずっと向き合いやすかったです。
この記事が、誰かの心の準備に少しでも役立ったらうれしいです🦒
※本記事は個人の記録です。金額・制度の適用は、治療内容・医療機関・加入している健康保険・お住まいの自治体によって変わります。制度の詳細や正確な金額は、クリニック・健康保険・自治体の窓口にご確認ください。

