🦒 この記事を読むとわかること
- 2026年8月から高額療養費の自己負担上限が引き上げられること
- 所得区分ごとの「現行」と「改正後」の比較
- 新しく始まる「年間上限」のしくみ
- 不妊治療(体外受精)の費用にどう影響するか
※2026年7月時点で公表されている情報に基づきます。最新・正確な金額は厚生労働省や加入している健康保険の窓口でご確認ください。本記事は制度の一般的な解説で、個別の給付額を保証するものではありません。
はじめに|「8月から変わる」と聞いて不安になった
不妊治療を続けていると、毎月の医療費がぐっと増える月があります。そんなときに助けてくれるのが「高額療養費制度」。1か月の医療費(保険診療の自己負担分)が一定の上限を超えると、超えた分が後から戻ってくる制度です。
その高額療養費が、2026年8月から見直し(自己負担上限の引き上げ)になります。私もニュースで見て「治療費、もっと高くなるの…?」と不安になったので、現行と改正後を自分なりに整理してみました。
そもそも高額療養費ってどんな制度?
1か月(月初〜月末)の保険診療の自己負担(3割分)が、所得に応じて決まる上限額を超えると、超えた分が払い戻されます。上限額は「区分ア〜オ」という所得区分で決まります(不妊治療の場合は女性の所得で判断されることが一般的です)。
💡 ここがポイント
体外受精の1周期は、採卵の月・移植の月で費用が分かれることが多く、1か月あたりの自己負担が上限に届かず、高額療養費が使えない月も多いです。逆に、高刺激でたくさん採卵した月など、費用が集中した月は対象になりやすいです。「毎回戻ってくる」わけではない、というのが実感でした。
2026年8月、何が変わる?
大きく分けて2つです。
- ① 毎月の自己負担上限が引き上げ(区分ごとに金額が上がる)
- ② 「年間上限」が新しく始まる(1年間トータルの負担に上限を設ける、長期療養者向けの新しいしくみ)
なお、上限を計算するときの「医療費のしきい値」や「超過分にかかる1%」、何度も該当したときの「多数回該当」の金額は据え置き(変わらない)で、引き上げられるのは基準額(ベースの金額)です。
現行と改正後の比較表(70歳未満・月の上限)
70歳未満の自己負担上限の比較です(区分ア〜ウは「基準額+(医療費−しきい値)×1%」、区分エ・オは定額)。
| 所得区分(年収のめやす) | 現行(〜2026年7月) | 2026年8月〜 | 差 |
|---|---|---|---|
| 区分ア(約1,160万円〜) | 252,600円+1% | 270,300円+1% | +17,700円 |
| 区分イ(約770〜1,160万円) | 167,400円+1% | 179,100円+1% | +11,700円 |
| 区分ウ(約370〜770万円) | 80,100円+1% | 85,800円+1% | +5,700円 |
| 区分エ(約156〜370万円) | 57,600円 | 61,500円 | +3,900円 |
| 区分オ(住民税非課税) | 35,400円 | 36,900円 | +1,500円 |
※「+1%」は、その月の総医療費(10割)が一定額(区分アは842,000円、イは558,000円、ウは267,000円)を超えた分の1%が上限に上乗せされるという意味です。この計算式自体は改正後も変わりません。
※多数回該当(直近12か月で4回目以降)の上限額は、改正後も据え置きです。
不妊治療だと、実際どれくらい変わる?
いちばん人数が多い区分ウ(年収約370〜770万円)を例にしてみます。高刺激でたくさん採卵して、その月の自己負担(3割)が大きくなったケースだと――
| 採卵月(区分ウの例) | 現行 | 2026年8月〜 |
|---|---|---|
| その月の自己負担上限 | 約82,000円 | 約88,000円 |
| 払い戻し(還付)の目安 | 多い | やや減る |
上限が上がるぶん、戻ってくる金額は区分ウで月あたり5,700円ほど少なくなる計算です(高額療養費が使える月の場合)。1回の治療で何度も上限を超えるわけではないので、影響は「思っていたより大きくはないけれど、確実に負担は増える」という印象でした。
新しく始まる「年間上限」って?
2026年8月からは、月の上限とは別に1年間トータルの自己負担に上限を設ける「年間上限」が新設されます。長く治療を続ける人ほど負担が重くなりすぎないようにする、というねらいです。
月ごとには上限に届かなくても、1年の合計がこの額に達すれば、それ以降の負担が抑えられるしくみです。所得区分ごとの年間上限は次のとおりです。
| 所得区分(年収のめやす) | 年間上限額 |
|---|---|
| 約1,160万円〜 | 約162万1,800円 |
| 約770〜1,160万円 | 約107万4,600円 |
| 約370〜770万円(区分ウ) | 53万円 |
| 〜約370万円 | 約36万9,000円 |
いちばん人数が多い区分ウなら年間53万円。私の1周期の保険診療の自己負担は約20.8万円だったので、目安として年に2周期半くらい治療を続けたあたりから、この年間上限が効いてくる計算です。逆にいうと、年1〜2周期のペースでは恩恵はほぼありません。1周期の費用の内訳は「不妊治療1周期のリアルな費用公開|シミュレーションと実際を比較【体外受精・高額療養費】」に詳しくまとめています。
💡 気をつけたいポイント
年間上限の対象になるのは保険診療の自己負担だけです。タイムラプス培養などの先進医療(保険外)は対象外で、周期を重ねてもここは全額自己負担のまま。「年間上限があるから安心」と思いすぎないのが大事です。
※「1年間」の数え方(1〜12月の暦年か、直近12か月か)など、年間上限の細かい運用は今後確定していく部分があります。最新情報は厚生労働省や加入している健康保険でご確認ください。
2027年8月にも、さらに見直しの予定
今回(2026年8月)の見直しに続いて、2027年8月には所得区分がさらに細かく分けられる予定です。区分が増えることで、人によっては上限額の上がり幅が大きくなる見込みです。こちらは続報が出たら、あらためてまとめたいと思います。
まとめ|「変わる」と知っておくだけでも安心
- 2026年8月から、月の自己負担上限が区分ごとに引き上げ(区分ウで+5,700円)
- 計算式(しきい値・1%)と多数回該当は据え置き
- 長期療養者向けの「年間上限」が新設
- 2027年8月には所得区分の細分化も予定
不妊治療は月によって費用の波が大きいので、「高額療養費がいくら戻るか」は事前に把握しておくと安心です。改正後の負担も、シミュレーターで先に確かめておくと心の準備ができます🦒
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不妊治療費シミュレーターを使ってみる※本記事は2026年7月時点で公表されている情報をもとにした一般的な解説です。制度の詳細・最新の金額・ご自身が対象になるかは、厚生労働省の案内や加入している健康保険組合・市区町村の窓口で必ずご確認ください。


