🦒 この記事を読むとわかること
- 凍結胚を預けたままにすると、1年ごとにいくらかかるのか(私の場合は38,500円)
- 妊娠したとたんに保険がきかなくなる理由
- 更新のときに夫婦で決めること、そして「移送できない」場合があること
こんにちは、キリンちゃんです🦒
クリニックを卒業したとき、「これで治療は終わり」と思っていました。
でも、ひとつだけ終わっていないものがあります。凍結したまま預けてある胚です。これは1年ごとに更新手続きがあって、そのたびにお金がかかります。
私の場合は1年で38,500円。しかも全額自費です。
📌 この記事の「保険」は、会社から配られる保険証を使う公的な医療保険のことです。生命保険や医療保険といった民間の保険ではありません。
私の場合:胚が1個、年38,500円
私は採卵を2回しました。できた胚盤胞は1回目に1個、2回目に1個の合計2個。そのうち1個を移植して、いまの妊娠につながりました。
つまり、胚が1個、クリニックに預けたまま残っています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 凍結胚の保管料(1年ごと) | 38,500円 |
| 保険の適用 | なし(全額自費) |
採卵や移植にくらべれば小さい金額です。でも毎年、黙っていても出ていくお金なので、性格がぜんぜん違います。
なぜ妊娠すると自費になるの?
ここがいちばん「え、そうなの?」と思ったところです。
凍結胚の保管料は、治療中であれば保険が使えます。「胚凍結保存維持管理料」という名前で、1年に1回ぶんが決められています。
ところが、この保険が使える条件に、こう書かれています。
患者及びそのパートナーが不妊治療を引き続き実施する意向を確認しており、かつ、胚の凍結を継続する場合
つまり「これからも治療を続けます」という前提の制度なんです。
妊娠してクリニックを卒業すると、いったん治療はお休みになります。そうすると「引き続き治療します」にあてはまらなくなるので、保険から外れて自費になる、という流れです。
金額にするとこれくらい違います
| 1年あたりの保管料 | 自己負担 |
|---|---|
| 治療中(保険・3割負担) | 約10,500円 |
| 妊娠後(自費・私のクリニック) | 38,500円 |
| 差 | 約28,000円 |
同じ胚を、同じ場所に、同じように預けているだけなのに、約3.7倍になります。
※保険のほうは「3,500点=35,000円」の3割で計算した目安です。自費の金額はクリニックが自由に決められるので、施設によって大きく変わります。数千円のところもあれば、5万円を超えるところもあります。
2024年6月に、ひとつルールが変わりました
以前は、保険で保管できる期間に「凍結した日から3年まで」という上限がありました。
これが2024年6月に撤廃され、年数の制限がなくなっています。治療を続けている人にとっては、素直にありがたい変更です。
ただし、「治療を続けている」が前提なのは変わりません。私のように妊娠でお休みに入ると、やはり自費になります。
更新のときに決めること
期限が近づくと、クリニックから更新の案内が来ます。そこで選ぶのは、基本はこの2つです。
- 続ける:保管料を払って、もう1年預ける
- 終わりにする:保管をやめる
「別のクリニックに移す」は、できないことがあります
引っ越しや里帰りを考えると、「胚ごと別のクリニックへ移せないかな」と思いますよね。私も思いました。
でも、移送できるかどうかは施設によってまったく違います。私が通っていたクリニックは、移送に対応していませんでした。
凍結した胚は、温度を保ったまま運ばないといけません。専用の容器と運ぶ体制が必要なので、「やっていません」という施設は珍しくないようです。
転勤の可能性がある方、里帰りを考えている方は、凍結する前に「移送できますか」と聞いておくと安心です。あとから知ると、選べる道が少なくなってしまいます。
手続きで気をつけたいこと
更新のときに、つまずきやすいのがこの3つです。
① 夫婦ふたりの署名が必要なことが多い
凍結胚は夫婦ふたりのものなので、更新も終了もふたりの同意で進めるのが一般的です。書類に二人分の署名がいる場合、ひとりで完結しません。早めに夫に話しておくのが結局いちばんラクでした。
② 返事をしないとどうなるかは、クリニックによる
「連絡がないまま期限を過ぎたらどうなるか」は施設ごとにルールが違います。これは必ず自分のクリニックに確認してください。大事なものを、うっかりで失わないために。
③ 期限の数え方を勘違いしやすい
「凍結した日から1年」なのか「前回の更新日から1年」なのか、ここも施設によります。案内が来てから慌てないように、次の期限をカレンダーに入れておくと安心です。
年4万円を、どう考えるか
正直に言うと、「毎年4万円か…」と思いました。
でも計算してみて、見え方が変わりました。
私が不妊治療にかかった総額を全部公開|払ったのは約35万円、戻ったのは約15万円【30歳・体外受精】でまとめたとおり、採卵と培養・凍結だけで全体の約74%を占めていました。採卵をもう1回やるとなれば、十数万円のお金と、注射と、通院の時間がまたかかります。
そう考えると、年4万円は「次の採卵をしなくて済む権利」の値段に近いのかなと思いました。2人目を考えるなら、むしろ安いほうかもしれません。
もちろん、これは2人目を考えるかどうかで答えが変わる話です。そこは人それぞれで、正解はないと思っています。
医療費控除の対象になる?
気になって調べました。
「治療のために必要な保管」であれば対象になる、という見方が一般的なようです。一方で、はっきりそう書かれた公式の資料は見つけられませんでした。
自費で払った分は、不妊治療の医療費控除はいくら戻る?控除額が約10万円でも、戻るのは約2万円の理由【30歳・体外受精】に書いたとおり、マイナポータルには自動で入ってきません。領収書は必ず取っておいて、申告できるかは税務署に聞くのが確実です。
まとめ
- 凍結胚を預けたままにすると、1年ごとに保管料がかかる(私は38,500円)
- 妊娠して治療を休むと、保険から外れて自費になる。条件が「治療を続ける意向があること」だから
- 金額は約3.7倍(保険なら約10,500円 → 自費で38,500円)
- 2024年6月に「3年まで」の上限は撤廃された。ただし治療中であることが前提
- 別のクリニックへ移送できるとはかぎらない。私の通院先は対応なし。凍結する前に確認を
- 更新は夫婦ふたりの同意が必要なことが多い。早めに共有しておく
- 返事をしなかった場合の扱いは施設ごとに違う。必ず自分のクリニックに確認を
治療が終わっても、預けたものが残っているかぎり、関係は続きます。思っていたより長いおつきあいになりそうです。
※本記事は個人の記録と、2026年10月時点で公開されている制度をもとにしています。保管料の金額・更新のルール・保険の取り扱いは、クリニックや時期によって変わります。正確な内容は必ず通院先のクリニックにご確認ください。


