🦒 この記事を読むとわかること
- 不妊治療の医療費控除の計算を、実際の金額で4ステップ追える
- 「控除額」と「戻ってくる税金」はまったく違う、という話
- つまずきやすい2つの落とし穴(戻ったお金・交通費)
こんにちは、キリンちゃんです🦒
不妊治療をしていると、必ず聞くのが「医療費控除で戻ってくるよ」という話。私もずっと「けっこう戻るんだろうな」と思っていました。
でも実際に計算してみたら、思っていたのとだいぶ違いました。自分の数字をそのまま出して、順番に計算します。
📌 この記事の「健康保険」は、会社から配られる保険証を使う公的な医療保険のことです。生命保険や医療保険といった民間の保険ではありません。
結論:控除額は約10万円、戻る税金は約2万円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1年間に払った治療費 | 346,428円 |
| + 通院の交通費 | 5,340円 |
| − あとから戻ってきたお金 | 147,000円 |
| 医療費控除の額 | 104,768円 |
| 実際に戻る税金(目安) | 約2万円 |
控除額の104,768円が、そのまま戻ってくるわけではありません。ここが私がいちばん勘違いしていたところでした。
ステップ①:1年間に払った医療費を全部足す
まずは1月1日から12月31日までに実際に払った金額を合計します。保険が効いた分も、自費の分も、全部まとめてです。
私の場合は346,428円でした(採卵2回・移植1回・妊娠判定後の自費健診まで)。内訳は 不妊治療にかかった総額を全部公開|払ったのは約35万円、戻ったのは約15万円【30歳・体外受精】 に書いています。
💡 自分だけでなく、生計をともにしている家族の医療費もまとめて申告できます。夫の歯医者代、子どもの風邪、ドラッグストアで買った市販薬(対象のもの)なども合算できます。
ステップ②:通院の交通費を足す
見落としがちなのがこれ。通院の電車・バス代も医療費控除の対象です。
領収書は出ませんが、日付と経路のメモだけで申告できます。私は往復356円 × 通院15日で5,340円でした。
※原則は公共交通機関です。タクシー代は、やむを得ない事情があるときに限って対象になります。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
ステップ③:戻ってきたお金を引く【落とし穴】
ここがいちばん忘れやすいところです。
高額療養費や、勤め先の健康保険組合からの付加給付など、あとから戻ってきたお金は、必ず医療費から差し引いて申告します。
私の場合は付加給付で147,000円が戻っていました。しかもこれ、申請していないのに自動で振り込まれていたので、通帳を見るまで完全に忘れていました。
⚠️ 差し引かずに全額で申告すると、あとで修正が必要になることがあります。通帳を「健保」「組合」などで検索して、入金がないか確認してみてください。
なお、差し引くのは「その治療に対して戻ったお金」だけです。たとえば歯の治療で戻ったお金を、不妊治療費から引く必要はありません。
ステップ④:10万円を引く
ここまでの金額から10万円を引いた残りが、医療費控除の額になります。
| 計算 | 金額 |
|---|---|
| ① 治療費 | 346,428円 |
| ② + 交通費 | 5,340円 |
| ③ − 戻ったお金 | −147,000円 |
| 小計 | 204,768円 |
| ④ − 10万円 | −100,000円 |
| 医療費控除の額 | 104,768円 |
※その年の所得が200万円未満の方は、10万円ではなく「所得の5%」を引きます。パート勤務の方や、産休・育休で所得が下がった年は、こちらのほうが有利になることがあります。
いちばんの勘違い:控除額は「戻ってくるお金」ではない
さて本題です。控除額104,768円が、そのまま振り込まれるわけではありません。
医療費控除は「税金を計算するときのもとになる金額を減らしてくれる」しくみです。減るのは税金であって、控除額そのものが戻るのではありません。
戻る税金 = 控除額 ×(所得税率 + 住民税10%)
所得税率は収入によって変わるので、同じ控除額でも戻る金額は人それぞれです。
| 所得税率 | 所得税の還付 | 翌年の住民税が安くなる額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5% | 約5,200円 | 約10,400円 | 約15,600円 |
| 10% | 約10,400円 | 約10,400円 | 約20,900円 |
| 20% | 約20,900円 | 約10,400円 | 約31,400円 |
私の所得区分だと、2〜3万円ほどになりそうです。
もうひとつ知っておきたいのが、この2つはもらい方が違うこと。
- 所得税:申告の1〜2か月後に口座へ振り込まれます
- 住民税:振り込まれません。翌年の住民税が、その分だけ安くなります(給与天引きの額が減る形)
夫婦どちらで申告する?
医療費控除は生計をともにする家族の分をまとめて、どちらか一方が申告できます。
上の表を見るとわかるとおり、所得税率が高い人のほうが戻る金額は大きくなります。つまり基本は収入が多いほうが申告したほうが有利です。
ただし例外もあります。どちらかの所得が200万円未満の場合は、引く金額が10万円ではなく「所得の5%」になるため、収入が少ないほうが有利になることもあります。
※ご家庭の状況によって変わります。迷ったら、両方のパターンで計算してみるか、税務署に相談してみてください(確定申告の時期は電話相談もできます)。
知っておきたい2つのこと
① 5年さかのぼれる
医療費控除は5年前までさかのぼって申告できます。
「去年も治療していたのに、申告していなかった」という方も、まだ間に合います。領収書が残っていれば、過去分もまとめて申告してみてください。
② 領収書の提出はいらない(でも5年保存)
いまは領収書を提出する必要はありません。かわりに「医療費控除の明細書」に金額をまとめて記入します。
ただし、領収書は5年間保管が必要です。あとで確認を求められることがあります。
マイナポータルと連携すると、健康保険が効いた分の医療費は自動で取り込めます。ただし自費で払った分と交通費は自分で入力が必要なので、記録は自分で残しておく必要があります。
記録しておくとラクになります
ここまでの計算は、通院のたびにスマホで30秒だけ記録しておいたおかげで、ほぼ自動で出ました。金額とカテゴリを入れるだけで、年ごとの合計も、控除の目安も出るようにしてあります。
確定申告の時期に封筒いっぱいの領収書を前にすることを思えば、30秒は安いです。
同じシートは note で配布しています。作った経緯は 不妊治療の費用管理どうしてる?家計簿が続かない私がたどり着いた「スマホで30秒」記録術 に書きました。
まとめ
- 計算は4ステップ:治療費 + 交通費 − 戻ったお金 − 10万円
- 戻ったお金を引き忘れない。自動入金の付加給付は特に気づきにくい
- 交通費はメモだけで申告できる。領収書はいらない
- 控除額 ≠ 戻る税金。戻るのは控除額 ×(所得税率+10%)
- 収入が多いほうが申告すると有利(所得200万円未満なら例外あり)
- 5年さかのぼれる。過去の治療分もまだ間に合う
2万円は、期待していたほど大きくはありませんでした。でも手続きは1時間もかかりません。やらない理由はないなと思っています。
※本記事は個人の記録と、2026年10月時点で公開されている制度をもとにしています。税額や適用条件はご家庭の状況によって変わります。正確な取り扱いは国税庁のサイト、またはお住まいの地域の税務署にご確認ください。

